僕の家庭教師さまー軽井沢編ー(45)
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僕の家庭教師さまー軽井沢編ー(45)
試合はもつれにもつれてタイブレークにまで持ちこまれた。
だが最後は三枝にサービスエースを取られ、呆気なく幕を降ろしてしまった。
二人は、一時はギャラリーの存在にも気付いたが、ゲームが再会されると再び自分たちだけの世界に没頭するようになり、その緊迫した雰囲気が伝わったのかギャラリーも静かになった。
いちいちポイントを取って取られての接戦では拍手で二人の空気を切り裂く事もしなくなり、周りも皆固唾を飲んで試合の成り行きをじっと見守っていたのだった。
そしてその瞬間が訪れ試合が終わると、コートの周りに集まっていたギャラリーたちはおおいに沸いて、自分の手が千切れんばかりの拍手喝さいを送っていた。
雫も三枝も汗でぐしょぐしょになりながらも、やりきった爽快感に包まれていた。
雫は三枝と握手をして
「次は絶対勝ちますから…」と言ってしまった。
テニスに関しては三枝に対しても強気な雫だった。
それもそのはずで、雫の心の中では唯一自分で自分を褒められるものだと思っていたから当然だった。
この数年は特に部活と学業の両立を心がけ、学校を辞めさせられないように、並々ならぬ努力を続けてきた。
そのおかげで今の自分が保っていられているのだとも思っていた。
試合には負けてしまったが、今日は自分に分が無かっただけで、次は勝てると多少の勝算も見えた気がした。
だからあえて強気な発言をして三枝を煽ってみたくなったのだった。
そう言われると三枝もニヤリと笑いその手にギュッと力を込めた。
「いいよ、いつでも…受けて立ってやろうじゃないか」
三枝は最後まで病み上がりの雫に対してだろうと容赦はなかった。
またしても大人げない。
だが雫もそれの方がありがたかった。
変に勝負事で手加減される方が悔しい。
手加減なく負けたのだから今はそれに満足していた。
「僕はこれでも高校の時はテニス部の部長だったんだよ」
三枝にそう言われるとつい釣られて
「僕も、こないだ部長に任命されたばかり…」
と言いかけて、その大切な任務を途中放棄して今は全部仲間たちに任せきりになっている事を思い出すと、雫は不意に暗い顔になってしまった。
だが、このまま黙っていたらまた痛くもない腹を探られると思った雫は、三枝には素直に今思っていることを口にした。
「僕も、ここに来る前日、テニス部の部長になったばかりなんです。
本当なら今頃…みんなを引っ張っていかなければならないのに、まだ部長らしいことは何もできてなくて…ずっと人に任せっきりで。
友達にもいっぱい迷惑かけてるんだろうなと思ったら、急に笑えなくなってしまって…」
あんなに嬉しそうだった雫がまた少し沈んでしまい、三枝は話題を変えた。
「今晩はここのホテルのバンケットでちょっとしたパーティーがあるんだ。
それに招かれているから
雫も白鳥家の代表として一緒にきてもらうよ」
それは有無を言わさぬ強い口調だった。
そう言われると、雫も今はそんなこと言って甘えてはいられなかった事を思い出し、再び厳しい表情になるのだった。
早く日常に戻りたければ、悠の事は忘れて正真正銘三枝の恋人になる事を選ぶか、白鳥家の跡を継げるくらいにならなくてはダメだと三枝に言われているようだった。
そして付け足す様によりリアルな事実を突き付ける。
「さぁ、雫。
約束通り部屋に戻って一緒にシャワーしようか?
勝負に負けた方が相手の背中を流すって賭け…忘れてないよね?」
「…わかってます…」
三枝はこのテニスの試合に何も出ないのも勝負に真剣身が入らないから、お金ではないものを何か賭けようと言い出してそれでそういう事になっていたのだった。
雫たちはこのテニスコートのクラブハウスで着替えてもシャワーを浴びなくても別に構わなかったが、三枝が今日はこのホテルに泊まる為に部屋を押さえてくれていたから、そこに戻って誰の目を気にする事も無くゆっくりシャワーを浴びる事が出来る。
部屋に戻れば誰も居ない本当に二人だけの世界に戻るのだった。
ここに集まってくれたギャラリーともここでお別れだった。
プロでもない自分たちの賭け試合に付き合ってくれた聴衆に向かってペコリと頭を下げて雫はコートを出る、三枝も軽く会釈すると二人並んでホテルに戻っていった。
その姿を目にした人々はこの後二人が部屋で何をするかなど誰も想像していないだろう。
誰の目にも二人が今恋人ごっこをしている最中とは思いも寄らないのであった。
***
古い趣のある外観のホテルでも内装はところどころ手が入れられているものだった。
水栓弁だってサーモスタット付きのものに切り替えられていたしドアの鍵だって近代的なものに変えられていた。
三枝がカードをかざすとガチャと鍵が開く音がする。
三枝がそのドアを押さえてくれていて雫に先に入れと促してくれていた。
それに従い雫は三枝が作ってくれる腕のアーチをくぐって中に入るとすかさず壁に押し付けられて背中に衝撃が走った。
目を見詰めるとか、何か会話が交わされるとかそんな甘いものも無く、気付けば熱い三枝の唇に唇を重ねていた。
思考が追いつく前に舌が絡め取られ口腔を弄られていく。
雫ももう色々限界だった。
いつしか三枝のそれに追いつこうと必死になっていた。
互いに汗まみれのポロシャツをむしり取るように脱がせ合い、もつれるようにシャワールームへと消えていく二人だった。
(つづく)
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イラスト:かつ様 pixiv:https://www.pixiv.net/member.php?id=3691623
- 2018.04.29 Sunday
- ★僕の家庭教師さま・軽井沢編(三枝×雫)
- 13:45
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- by Rink


